【読書記録】『世界十五大哲学』著・大井正、寺沢恒信
かつて外務省主任分析官を務めた作家・佐藤優氏が、哲学を学ぶための良書として自身の著書『いま生きる資本論』で紹介していたのが、本書『世界十五大哲学』です。
哲学に興味はあるけれど、何から読めばいいかわからない――。そんな方に、この本は強くおすすめできます。
とはいえ、ほとんど素人の私にとっては、哲学者たちの思考を完全に理解するのは非常に難解でした。おそらく何度も読み返しながら、自分の中に少しずつ落とし込んでいく必要がある、そんな一冊です。
タイトルの通り、本書では世界を代表する15人の哲学者について解説されています。彼らがどんな時代に生き、どんな師のもとで学び、どんな思索に辿り着いたのか――それらを一冊で学ぶことができます。
先述の通り、正直に言って内容は難しいです。ある程度の素養がある方ならより深い理解ができるかと思いますが、初学者が一度読んで完全に理解するのはほぼ不可能でしょう。
それでも、各哲学者の原典を読むよりは、ずっと親切でわかりやすい構成になっています。何より、彼らが生涯をかけて考え抜いた哲学を「体系的に俯瞰できる」点が本書の大きな魅力です。
冒頭の「哲学とは何か」という章だけでも読む価値があると思います。
哲学は、世間から離れて生きる仙人のような人が一生をかけて追い求めるものではなく、むしろ私たちの日常や人生を支える実践的な学問である――そのことを理解するだけでも、哲学が一気に身近に感じられます。
本書は15人の哲学者それぞれが章立てで紹介されており、気になる箇所を何度も読み返しながら、一生をかけて理解していく楽しみがあります。
彼らが何を考え、何を残そうとしたのか。その思想を辿ることで、「人間とは何か」「生きるとは何か」という問いが、時代を超えて自分の中にも響いてくるように感じました。
人類の歴史という大きな流れの中で見れば、私たちが抱く悩みや疑問も、不変かつ普遍のテーマなのかもしれません。哲学に少しでも興味がある方は、ぜひこの一冊からその扉を開いてみてください。