親子間パワハラの実態

 常々、「パワハラ」という言葉は気をつけて扱う必要があると感じます。

 なぜなら、今まで私たちの頭になかった概念が言語化されると、これまで意識せず渦巻いていた感情と結びついて途端に増幅するという状態に陥るからです。

 しかし裏を返せば、今までになかった概念を私たちが意識することで、苦しんでいる人々を救える可能性があることも真実です。結局、何事においても重要なのは「バランス」なのです

 さて、「パワーハラスメント」の本質は権力構造に基づいた嫌がらせであって、立場が上の者がその力を行使して下の者に不快感を与える行為そのものです。

 実は、これが最も起こりうるのは親子間ではないかと思います。

 親子の間に愛情がない場合は当然ですが、実際には愛情がある場合にもこれが表出するというのが難しいところです。

 特に、親の存在がなければ生きていくことすらままならない幼い子にとって、親は絶対的な存在です。これは会社の上司などとは比べ物にならないほど絶対的です。

 子供達の多くは、この人に逆らったら生きていけないと思っているわけではないかもしれませんが、本能でそれを感じているのです。

 その中で、ある種の価値観を植え付けるものが教育だとするならば、親のほんの些細な言葉や行動でさえ、圧倒的な権力差の中ではハラスメントになりうるのです。

(※正確にはこれはハラスメント(嫌がらせ)ではありません。多くの人にとって直感的に理解がしやすいようにこのような表現をしていますが、本質的には同様な気もします。)

 子供にとって1番大切なのは、1人の人間としての尊厳を侵害されていないか、ということです。

 親子関係であるからといって、相手が子供であるからといって、人間としての尊厳を踏み躙ってはいけないのです。当然と思われるかもしれませんが、これはまさに「言うは易く行うは難し」な問題です。

 あらゆる関係性の中で親子関係こそが最も権力差が大きく、隔絶された閉鎖的な世界であることをよく認識して、未来ある子供たちを育てていく必要があるのではないでしょうか。

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