【読書記録】『貧乏はお金持ち』著・橘玲

 この本の副題は『「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』です。
 著者曰く、日本という国において「個人」と「法人」には圧倒的な格差が存在するといいます。私たちはこの2つの顔を使い分け、制度をうまく利用して賢く生きていく必要があると論じています。

 著者が勧めるのは「マイクロ法人」の設立。税制の構造上生じた「歪み」を利用して、節税することが必要というのが著者の見解です。会社員は知らない間に搾取され続けているからです。

 なぜ会社員が搾取され続けるのかと言えば、国家にとってこれほど搾取しやすく、静かに収奪するのに適任の存在はいないからです。政治家が資本家におもねる必要がある以上、経営者のような金持ちではなく、私たちのような会社員が都合がいいのです。

 「法人」とはつまり、「法律上の人間」。大きな会社を設立する必要はなく、「マイクロ」な事業を始めて「法律上の顔」を持つことでこの社会を有利に生き抜いていくというのが筆者の主張です。

 ただ、私が読んだものは2009年(講談社)に発行されたもので、2011年(講談社+α文庫)、直近では2025年に改訂版(プレジデント社)が発行されています。
 最新版では発売当時とは制度や情勢が異なっているため、そちらを読むことをお勧めします。旧版は正直に言ってあまり読みやすいものではないので、その点でも最新のものがいいでしょう。

 もちろん、「法人」設立の予定がない方でも、「法人」がどのようなものか、日本における労働者と資本家の格差がどれほどのものか、についてよく学べる本ですので、手に取ってみてはいかがでしょうか。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です