【デジタルデトックス】スマホ依存から抜け出す10の方法――使用時間を1日2時間以内にする環境づくり
現在地を知る
スマホの使用時間の増加は、現代社会が抱える大きな問題のひとつだといえる。
便利な情報端末から、常に多くの刺激を浴びている私たちは、思考力や集中力を、あの厚さ1cmにも満たない手のひらサイズの板に、奪われつつあるのではないか。
「スマホの使用時間を減らしたい」と思う人は多い。しかし、スマホの依存性は強く、理性だけで抑え続けるのは難しい。私の経験では、意志の力で続けられるのは、数時間から数日という人がほとんどだ。
つまり、理性だけに頼るのではなく、スマホを触りにくくするための環境づくりや工夫(Tips)を取り入れることが、目標達成への近道である。
① 現在地を知り、目標を定める
何よりも重要なのは、現在地を知り、目標を定めることだ。スマホの使い方は人によって異なり、仕事や生活習慣に応じて、「必要最低限の使用時間」も違う。
スマホには、一日にどのくらい使っているか(使用アプリ、時間、持ち上げ回数など)を確認できる機能がある。iPhoneであれば、「設定」→「スクリーンタイム」から確認できる。
私のおすすめは、一日2時間以内の使用だ。これはあくまで私の感覚だが、3時間を超えてくると、依存に近い状態といえるのではないか。SNSやゲームは、脳の報酬系を刺激し、さらなる刺激を求める「負の循環」を生みやすい。
私たちに与えられた時間は、誰にとっても一日24時間である。人生の長さは人それぞれだが、その時間をどう使うかは自分次第だ。
たとえば私の場合、24時間−7.5時間(睡眠)−2時間(食事)=14.5時間。ここから、入浴や身支度、そして仕事や通勤の時間を引いた残りが、本当に自由に使える時間になる。社会人であれば、それは数時間しかない。
もし、その貴重な数時間の大半を、スマホに費やしているとしたら、どうだろう。人生の終わりに、「幸せだった」と言えるだろうか。
スマホは、賢く使えば、人生を豊かにする素晴らしい道具だ。しかし、使い方を誤れば、集中力や思考力を奪い、人生そのものを浪費させる存在にもなりうる。
だからこそ、現在地を知り、許容できる使用時間を明確に設定する。これが、スマホ依存から抜け出すための第一歩である。
制限する
スマホ依存から抜け出そうとすると、誰もが「2時間を切ることの難しさ」を痛感する。SNSだけでなく、ショッピング、調べ物、地図や乗換案内。便利なアプリの積み重ねが、想像以上に多くの時間を奪っている。
スマホ依存の最大の問題は、あまりにも簡単に使えてしまうことだ。「つい手に取ってしまう」状態を断つには、アプリを開くまでの障害(ハードル)を、意識的に設けることが重要である。
なお、設定の項目名は、iOSのバージョンや機種によって、異なる場合がある。以下は、iPhoneの例だ。
② スマホを手に取るまでの壁をつくる
すぐに手が届く場所に置かず、立ち上がらないと取れない場所に置く。ポケットではなくカバンに入れる。これだけでも効果が見込める。
③ 画面が見えないようにする
通知をオフにするのが、最も効果が大きい。画面を下向きに置く、カバーを閉じて視界から隠す、というだけでも十分に役立つ。
④ 持ち上げても画面が点灯しない設定にする
iPhoneなら、「設定」→「画面表示と明るさ」→「手前に傾けてスリープ解除」をオフにできる。無意味な通知を目にする機会を減らすことが大切だ。
⑤ アプリを開くまでの障壁を設ける
パスコードを長くする。生体認証をオフにする。意図的に開きにくくする工夫も有効だ。ただし、生体認証をオフにすると、パスコードの入力を他人に見られやすくなる。防犯面も考えて選びたい。
⑥ ホーム画面のアプリを最小限にする
スワイプやフォルダを開くといった動作を挟むだけでも、心理的なストッパーになる。
⑦ 不要なアプリを削除する
使用頻度の低いアプリや、パソコンで代用できるものは、思い切って消す。
⑧ 画面をモノクロにする
iPhoneなら、「設定」→「アクセシビリティ」→「画面表示とテキストサイズ」→「カラーフィルタ」から、「グレイスケール」を選ぶ。さらに、アクセシビリティの「ショートカット」で、サイドボタンのトリプルクリックに「カラーフィルタ」を割り当てれば、簡単に切り替えられる。Androidでは、機種やバージョンにより異なるが、Digital Wellbeingの「おやすみ時間モード」で、就寝の時間帯に、画面をモノクロにできる。
大学生を対象にした米国の研究では、画面をグレースケールにすると、スマホの使用時間が、1日平均39分減ったと報告されている。ただし、効果がどれだけ続くか、他の年齢層でも同じかは、さらなる研究が必要とされている。アプリのアイコンが赤や青など鮮やかな色なのは、人の注意を引くためでもある、と言われる。
⑨ ホーム画面にスクリーンタイムのウィジェットを追加する
使用時間を常に可視化することで、使いすぎに気づきやすくなる。
⑩ アプリの使用時間に制限を設ける
iPhoneなら、「設定」→「スクリーンタイム」→「App使用時間の制限」で、使用時間の上限を設定できる。私は、すべてのアプリに対して、1日2時間の上限を設定している。①で目安にした2時間と、同じ時間だ。
ただし、上限に達しても使い続けられる「常に許可」のアプリがある。これは、「設定」→「スクリーンタイム」→「常に許可」で選べる。上限の意味がなくならないよう、私は、ここを最低限に留めている。
これらの制限は、私たちの生活を不自由にするためのものではない。むしろ、自分の時間を取り戻すための、「自由のルール」である。意識して環境を整えることで、私たちはスマホの支配から抜け出し、真に自由な、スマホを「使いこなす人生」へと変えていくことができる。
なお、使用を減らそうとして、強い不安やいらだちが出る、日常生活に支障が出るといった場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談してほしい。


