【投資の格言】「第一のルールは損をしないこと。第二のルールは第一のルールを忘れないこと。」―ウォーレン・バフェット

損失回避こそ投資の全て

 投資の神様ともいわれるウォーレン・バフェットの言葉に次のようなものがあります。

 「The first rule is not to lose. The second rule is not to forget the first rule.」
  第一のルールは損をしないこと。第二のルールは第一のルールを忘れないこと。

 非常にシンプルな格言ですが、投資期間が長くなってきた人ほど、この言葉の重みが理解できるのではないでしょうか。
 「損失回避」は投資における鉄の掟です。

 リスクとの戦いが投資家にとって最大の問題であることは、アメリカの投資家ハワード・マークスや私がこよなく愛するナシーム・ニコラス・タレブも言及しています。

 タレブの理論は『世界は不確実で予測不可能であることを前提として「ブラックスワン(黒い白鳥)」に気を付けなければならない』というものです。

 ブラックスワンとは、「事前にほとんど予測できず、起きた時の衝撃があまりに大きい事象」のことで、例えば地震などの自然災害、9.11のような大事件、コロナウイルスなどのパンデミック、戦争などなどです。

 このような事象に端を欲する経済危機を回避することこそが、利益を最大化するよりも大切なことだといいます。一般的にリスクと英ターンはトレードオフの関係にありますが、長く相場に留まりたいなら損失回避を最優先すべきです。

頭でわかっていても、とても難しい

 この格言が表していることは「損失回避」の重要性だけではありません。これがいかに難しいことか、これを非常に端的に著しています。なぜ、第二ルールが存在するのか、これを理解することが非常に重要になってきます。

 投資家は誰しも、できるだけ大きなリターンを求めて資金を投じています。長く金融市場を見てきた人ならば、一定の考え方や理論に基づいて、今後の経済動向を見通せるような気がしてくる時があるかもしれません。

 では、例えばあなたが、ビットコインの未来は非常に明るく、今後10年で他のどの資産よりもリターンを見込めると予想したとしましょう。どんな指標を見ても世の中の状況を見渡しても、これは揺るがない真実だと確信していたとします。

 わかりやすくビットコインを例に挙げましたが、株式であってもコモディティや債券であっても、投資をしているとどこかでそんな予感がしてくることがあります。この波に乗れば大金持ちになれる、そんな期待です。

 あなたは資産の大半をそこに振り向けたくなるでしょう。だってそこに投資すれば確実に儲かると感じているのだから。しかし、そんな場合でも、あなたはあなたの予測と全く逆の大暴落というシナリオを考えなくてはなりません。

 これはビットコインのようなボラティリティの高いものであればなおさらですが、他の資産に対しても同じです。「損失回避」の思考とはそのような状況でさえ、リスクを考え資金を分散することです。

 もしかすると、あなたの予感は当たり、ビットコインは大暴騰するかもしれません(私もビットコインについては長期的には楽観視していますが)。その時、あなたは「ああ、もっと資金を投入すればよかった」と思うでしょう。

 こうして次の機会が訪れた時、あなたは冷静に「損失回避」ができるでしょうか。

 これこそが第二のルール、「第一のルールを忘れないこと」なのです。
 どんな場合であれ、最悪の事態を想定すること。これができなければあなたはいつか大きな損失を被るでしょう。それは今日かもしれないし、1年後、あるいは(運が良ければ)5年後かもしれません。

 ただし、「損失回避」を考えなくなった投資家は必ず破滅します。予測が大当たりして大金持ちになってとしても、あなたが市場から退場していない限り、その利益は一夜にして水の泡になり得ます。

 あなたが投資家であり続ける限り、この言葉を深く深く胸に刻んでおきましょう。

 『第一のルールは損をしないこと。第二のルールは第一のルールを忘れないこと。』

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