【読書記録】『若い読者のための世界史』上下巻 著エルンスト・H・ゴンブリッチ
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多くの人にとって世界史を学ぶ上で欠かせないのは、情報としての正確性と、物語としての読みやすさだと感じます。
年号や事実をただ並べた「教科書的な歴史」はどうも味気なく、読んでいて退屈になりがちです。
その点、本書は非常に読みやすく、まさに『若い読者のため』というタイトルの通り、初学者が最初に手に取る一冊として最適です。
著者のE・H・ゴンブリッチ氏については、私は以前から『美術の物語』という本を通して知っておりました(まだ読んだことはないのですが)。
この本は西洋美術史を先史から現代までを網羅的に解説した名著で、世界で最も読まれている美術書として知られています。
『美術の物語』は分厚く、価格も少し張りますが、私がいつか必ず手に入れたい書籍の1つです。
一方で、本書『若い読者のための世界史』を読むと、ゴンブリッチ氏が史実を整理し、物語として伝える力に卓越していることがよくわかります。
「歴史に興味はあるけれど、何から学べばいいのかわからない」という方は、まず本書で世界史の大まかな流れを掴み、その後でより専門的な書籍に進むと良いでしょう。
驚くべきことに、本書の原稿はゴンブリッチ氏がわずか25歳の時に書いたものです(彼は2001年に92歳で逝去)。
ヨーロッパ中心の史観ではありますが、若き日の彼がこれほど体系的に世界史をまとめ上げたという事実には、ただただ感嘆するばかりです。
初学者が歴史書を読むことの問題点は、知らない用語が頻繁に出てくるという事でしょう。本書もその例に漏れず、前提知識の少ない状態では難しいと感じる場面もあるかもしれませんが、2回ほど読めば膨大な歴史の概略は十分に理解できるでしょう。
歴史を一人の視点だけで理解することは危険ですが、彼の言葉を借りれば、先史時代から第一次世界大戦の終結までの「歴史という川の流れ」を俯瞰したい方には、まさにうってつけの一冊です。


