【投資の基本】「ドルコスト平均法」とは?
最近は、NISAなどを使って「つみたて投資」を始める人が増えている。とはいえ、まだ投資に抵抗があったり、始めたいのに迷っていたりする人も多いのではないか。
「定期的に、一定の金額を投資する」。この積立投資の方法が、「ドルコスト平均法」と呼ばれる。名前は難しそうだが、仕組みは、とても簡単だ。
ドルコスト平均法の仕組み
たとえば、毎月1万円を、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)のような投資信託に投資するとしよう。オルカンだと少しややこしいので、毎日値段が変わるリンゴに置き換えて考えてみる。
毎月、決まった金額だけ買うということは、リンゴの値段がいくらでも、出すお金は1万円だということだ。1個100円なら100個、1,000円なら10個買える。つまり、値段が安いときには多く、高いときには少なく買うことになる。
試しに、2か月続けて買ってみる。1か月目は100円で100個、2か月目は1,000円で10個。合計2万円で110個を買い、1個あたりの平均購入価格は、約182円になる。二つの価格の単純な平均は550円なので、それより、ずっと安く買えた計算だ(極端な例だが、仕組みはこのとおりである)。
この方法の利点は、次のとおりだ。
- 購入する時期が分散され、高いときに、まとめて買う失敗を減らせる
- 一度設定すれば、毎日チャートを見る必要がなく、手間がかからない
- 相場の動きに、気持ちを振り回されにくい
ドルコスト平均法で「できないこと」
この手法の目的は、購入価格を平均することだ。そのため、「いちばん安いときに買い、いちばん高いときに売る」という、理想の行動はとれない。ただ、それは、プロの投資家でも、非常に難しい。上がると思って買ったものが暴落したり、下がると思ったものが高騰したりすることは、よくある。株価は、さまざまな要因が複雑に絡み合い、予測が難しいと考えられている(ランダムウォーク理論)。
もう一つ、知っておきたいことがある。ドルコスト平均法は、価格が下がるリスクそのものを、なくす方法ではない。相場全体が下がれば、積立中でも、評価額は下がる。また、手元にまとまった資金がある場合、一括で投資したほうが、結果がよかった場合が多いという分析もある(Vanguardによる、米国・英国・オーストラリアの市場の長期データを使った研究。一括投資が、約3分の2の期間で上回ったとされる)。ただし、この分析は、資金が最初から手元にある場合の話だ。毎月の収入から投資する人にとっては、積立が、現実的で、続けやすい方法になる。
複利との組み合わせ
もう一つ、長期の投資を支える考え方が「複利」だ。複利については、別の記事で解説している。
複利は、時間が長いほど効果が大きくなる。積立と複利を組み合わせると、長期で資産を育てやすい。ただし、これは、結果を保証するものではない。
長期・分散が基本
積立投資は、長期に向いている。短期では、損をすることも十分にある。相場が急に下がることもあるので、生活に必要なお金は、投資に回さないようにしたい。
また、ドルコスト平均法は、「積立の仕方」の話であり、「何に投資するか」とは別だ。オルカンのような、世界中の株式に広く分散する商品が人気になったのは、投資の基本が「分散」だからだ。初心者でも、プロでも、本質的な考え方は変わらない。長期で見ると、プロが運用するファンドの多くが、市場全体の動きを示す指数に届かない、というデータもある。これは、市場の予測が、それほど難しいことを示している(この点は、積立の効果ではなく、低コストの指数連動型の商品を選ぶことの意味を示す)。
まとめ
- ドルコスト平均法は、一定額を定期的に買い、購入時期を分散する方法
- 手間がかからず、相場に感情を振り回されにくい
- 価格下落のリスクを、なくすものではない
- 長期・分散を基本に、無理のない金額で続ける
本記事は、一般的な情報の提供を目的としており、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資には、元本割れのリスクがあります。投資の判断は、ご自身の責任で行ってください。


