【読書記録】2026年10月
月に一度、その月に読んだ書籍とその内容・感想を紹介する「読書記録」を行っている。
最近は更新が途絶えてしまっていたが、起床後と就寝前に時間を確保して読書習慣を維持できてきたので、今後は毎月更新を目標に取り組んでいこうと思う。
これは個人的な目的として読んだ本を記録しているだけでなく、その時に感じたこと、行動したことの記録でもある。ただ、読書記録にはあまりよくない側面もあって、一度読んだだけで内容すべてが理解できるような本はほとんどないにも関わらず、読了をもって理解したような気になってしまう場合がある。
特に内容が難解な場合や、新しく知る知見が多い場合はなおさらその影響は大きく、名著と呼ばれるような書籍は、何度も読み返すことで真の意味が分かってくるものもあれば、読む年齢やその時の人間関係、思考、環境によって、理解の深さが変わるものもある。
そのため、この読書記録には、以前の記録に登場した書籍が度々登場するが、基本的にはその時々で感じたこと、考えたこと、行動したことを記していくものなので、悪しからず。
『GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』
著:ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング
(NHK出版)
この本は、私が大学生の時に読んで衝撃を受け、勝手に名著認定している一冊だ。私は学生時代から健康への関心が強く、健康になるために必要な食事・睡眠・運動について、書籍などを通じて色々と学んできた。基本的に参考にするのは、学術書とまではいかないが、その分野の第一人者などが、科学的な知見に基づいて広く一般向けに書いた本である。
しかし、健康にとって漠然と「良い」とされているものについて、なぜ良いとされるのかまでは理解できていなかった。本書はそれらの知見を、明瞭に説明してくれる感覚があり、今になって読み返しても、食事・運動・睡眠などに関する説明は色褪せておらず、理解が深まった分、以前より実生活に結びつけやすく感じた。
この本を手に取った一番の理由は、そのタイトルだった。当時の私は、「進化人類学」的な領域に興味があった。つまりは、「人類は文明が発達してからの期間よりも、狩猟採集民として暮らした期間のほうが圧倒的に長く、私たちはまだ文明に適応できていない」という、進化論に基づく思想に関心を持っていた。
もちろん、現代を生きる私たちが、狩猟採集民のような生活をすることは不可能だ。しかし、本書の「GO WILD」というタイトルは、文明の中であっても、できる限り人類の心身に適応した生活を送ろうというメッセージなのだ。
進化の中で大きな脳を持つに至った人類は、複雑な動きをするようにできており、複雑な動きを伴う運動(本書ではトレイルランが紹介されている)や、それらを支える微量元素の摂取が必要だという。こうした論拠は、これまで重要とされてきた健康常識の根底を、説明されているような感覚になった。歩くのは身体によい、いろいろな食材を摂るとよいといった、何となく知っていた事実に対して、その本来の意味を気付かせてくれる。
また、本書を通じて、私は「マインドフルネス」に対する見方も変わった。これまでは、何となく良いものだとは知っていても、その理由が分かっていなかったために、実践するには至っていなかった(本書で語られる「低炭水化物食」についても同じである)。
健康常識の正しい理解や、その背景を知るという意味で、私にとって本書は名著であり、多くの人に読んでもらいたい一冊だ。
余談だが、著者の一人であるジョン・J・レイティは、『脳を鍛えるには運動しかない!』のほうが有名で、私もその本を持っている。しかし、学生時代に読んだ時に、内容が小難しく(神経科学や脳の話が多かった)、読むのを止めてしまった。タイトルが伝えたいことを全て伝えているので、科学的な裏付けがあると分かれば、細かい所は理解できなくてもよいかと思ったのが、読了できなかった理由だろう(いつかは読破したいと思っている)。
『サピエンス全史』
著:ユヴァル・ノア・ハラリ
(河出書房新社)
言わずと知れた名著だ。こちらも学生時代に一度読んだきりで、社会人になって改めて読み直した。きっかけは、あらゆる分野についての教養を深めるために、名著と呼ばれる古典、そして今後名著と呼ばれていくであろう現代書籍を、理解が深まる順番に読んでいくということを始めたからだ(詳細は以下の記事)。
【読書】「知の巨人」を目指して――生成AIと作った、教養の入門書35冊
本書は、そのタイトルが示すとおり、私たちホモ・サピエンスが歩んできた歴史について著者独自の視点を交えながら理解できる一冊だ。私たち人類とは何かを知る上で、最もふさわしい入門書の一つだと思うし、内容もそれほど難しくなく、読みやすい。
狩猟採集民として暮らしていた私たちの祖先が、なぜホモ・サピエンスとして地球上に広がったのか、帝国主義や貨幣、宗教といった共通の物語が、人類をどう結びつけ発展させてきたのかが語られる。
最後には、人類はこれからどこへ向かうのかという問いが投げかけられる(この部分は、のちに出版された『ホモ・デウス』につながっていく)。その素晴らしさは、これまでも多く語られているので言うまでもないが、この世界と私たち人類を理解するために、まず読むべき良書の1つだと思う。
『人生は20代で決まる』
著:メグ・ジェイ
(早川書房)
アメリカの心理学者・カウンセラーのメグ・ジェイが、科学的な知見と、自身のカウンセラーとしての経験をもとに、20代の重要性を説いた一冊だ。人生100年時代ともいわれ、人生における重要な決断を先送りにしがちな20代に向けて、(副題に「仕事・結婚・将来設計」とあるとおり)いかに20代が貴重な時期で、そこでの行動や価値観が、その後の人生を左右するかを、強く訴えている。
私は本書を大学生の時に一度読んだが、27歳になった今、改めて読み返すと、ここに書かれていたことが、いかに大切だったかが、より身に染みて分かる。登場する様々な20代の人たちは、この世代に共通する多くの悩みを抱え、私たちがつい取ってしまいがちな思考や行動を取っているが、それらがもたらす人生への影響が、想像をはるかに超えて重要であることを、当人たちは認識できていない。
脳や身体の発達、仕事選び、結婚、友人関係など、今20代の人はもちろん、30代、40代の人でも、これから20代の子供を育てていく親にも、重要な学びがあり、本書を読む前と読んだ後では、世界が違って見えるはずだ。特に今20代の人にはこれからの人生を無駄に生きないように、ぜひ手に取ってほしい一冊だ。

