FIREにはいくら必要?―27歳・資産500万円からのシミュレーション

「FIREするには、いくらの資産が必要なのか」
「今の資産と収入から考えると、何歳でFIREできるのか」

FIREを目指すのであれば、まずは自分の現在地を知り、目標達成までの期間をどうすれば短縮できるかを考えることが大切です。

今回は、私自身の現在の資産・年収・生活費をもとに、完全FIREとサイドFIREを達成するまでに何年かかるのかをシミュレーションしてみました。単純に「毎月10万円を積み立て続ける」という計算ではなく、今後の昇給によって手取りが増えていくことも織り込んでいます。あくまで一定の仮定に基づく試算ですが、生活の急激な変化も見込んだ、相当保守的な見積もりにしています。私自身がFIREまでどれくらいの距離にいるのかを把握するための目安として、ここに記録しておきます。

シミュレーションの前提条件

まず、現在の状況を整理します。総資産と年収は、シミュレーションを保守的にするために本来よりも若干低めに、生活費は若干高めに設定しています。

項目条件
年齢27歳
総資産500万円(現金100万円、投資資産400万円)
年収500万円(手取り約380万円)
生活費月20万円(年間240万円)
現在の積立額月10万円(年間120万円)
ボーナス年間2.5か月分(年収500万円に含む)
FIRE後の想定生活費月20万円
FIRE後の収入サイドFIREでは別途設定

現金については生活防衛資金として100万円だけ日本円で保有し、それを超える資産は基本的に投資に回すことにします。したがって今回のシミュレーションでは、500万円のうち400万円を投資資産として運用を開始します。

今後の年収はどのくらい増えるか

FIREまで20年前後かかる可能性を考えると、現在の年収500万円をそのまま固定して考えるのは現実的ではありません。

一方で、現在の日本では賃上げ率が高い水準で推移しています。連合の2025年春季生活闘争(最終集計)では、定期昇給相当分を含む賃上げ率が5.25%となりました。2026年春季生活闘争の第1回集計でも5.26%となっており、直近では5%を超える賃上げが続いています。

ただし、この水準を今後20年以上そのまま維持できると考えるのは楽観的すぎるでしょう。そこで今回のシミュレーションでは、長期的な年収上昇率を年3%と仮定します。これは「毎年3%の昇給が保証される」という意味ではなく、景気や会社の業績による変動を平均化した、長期的なモデル値として置いているものです。

昇給したら、増えた手取りの50%を投資する

今回のシミュレーションで特に重視したのが、昇給後の投資額の扱いです。

現在は「年収500万円・手取り約380万円・毎月10万円を投資」という状態です。今後、年収が増えれば手取りも増えていきますが、その増加分をすべて生活水準の向上に使うのではなく、増えた手取りの50%を追加で投資に回すことにします。例えば、昇給によって年間の手取りが20万円増えた場合、10万円を投資に、残る10万円を生活の余裕に充てる、という配分です。

これはかなり保守的な設定だと考えています。昇給分をすべて投資に回すのではなく、半分は自分の生活のためにも使えるようにしているためです。

年収が年3%ずつ上昇すると仮定すると、年齢ごとの想定は概ね以下のようになります。

年齢想定年収想定手取り年間投資額
27歳500万円380万円120万円
30歳約546万円約412万円約136万円
35歳約637万円約476万円約168万円
40歳約738万円約547万円約179万円
45歳約855万円約628万円約209万円
50歳約990万円約693万円約269万円

※手取りは現在の手取り約380万円を基準に、昇給による増加分の約70%が手取りに残るという簡略化したモデルです。実際の手取りは所得税・住民税・社会保険料等によって変動し、給与所得控除の適用や社会保険料の所得控除などもあるため、年収だけで一律に決まるものではありません。

このモデルでは、年収が増えるにつれて投資額も少しずつ増えていくことになります。

FIREに必要な資産はいくらか

現在の生活費は多く見積もっても月20万円、年間では240万円です。この240万円を投資資産から取り崩して生活すると考え、必要資産を「年間生活費 ÷ 取り崩し率」で計算します。

取り崩し率必要資産
4.0%6,000万円
3.5%約6,860万円
3.0%8,000万円

今回は20代からできるだけ早い時期のFIREを目指すため、一般的な退職期間よりも長い運用期間を想定する必要があります。そのため、ここでは3.5%を中心的な基準として考えます。

完全FIREまで何年かかるか

完全FIREでは、仕事からの収入がなくても生活できるだけの資産を作る必要があります。今回は「初期投資資産400万円・毎月10万円からスタート・昇給による手取り増加の50%を追加投資・年収上昇率3%・運用利回り3%/5%/7%」という条件で計算しました。

4%ルール(必要資産6,000万円)

想定運用利回り到達年齢
年3%約48歳
年5%約46歳
年7%約44歳

3.5%ルール(必要資産約6,860万円)

想定運用利回り到達年齢
年3%約50歳
年5%約47歳
年7%約45歳

3%ルール(必要資産8,000万円)

想定運用利回り到達年齢
年3%約52歳
年5%約49歳
年7%約46歳

今回の条件では、完全FIREの目安は40代半ばから50代前半に収まりました。特に中間的なケースとして「年5%の運用+3.5%の取り崩し」を採用すると、約47歳で完全FIREという結果になります。27歳から始めると約20年後、私は47歳になっている計算です。もちろん一般的な定年退職と比べれば早期退職ですが、これをできるだけ前倒しすることが私の目標です。なお、これは平均的な利回りを仮定した計算にすぎず、実際の資産推移はもっと大きく上下することになるでしょう。

サイドFIREならどうなるか

完全FIREでは、年間240万円をすべて投資資産から取り崩す必要があります。しかし、FIRE後も副業などで収入を得られるなら、必要な資産は大きく減ります。例えば月10万円の収入があれば、年間生活費240万円から年間収入120万円を差し引いた120万円だけを投資資産から取り崩せばよいことになり、3.5%ルールなら「120万円 ÷ 3.5% ≒ 3,430万円」で済みます。

FIRE後の収入投資資産から必要な年間額必要資産
月5万円180万円約5,140万円
月10万円120万円約3,430万円
月15万円60万円約1,710万円

これだけ必要資産が変わってきます。同じ条件で到達年齢を計算すると、以下のようになりました(年齢は概算です)。

FIRE後の収入必要資産年3%年5%年7%
月5万円約5,140万円約46歳約44歳約42歳
月10万円約3,430万円約42歳約40歳約39歳
月15万円約1,710万円約35歳約34歳約34歳

標準ケースとして年5%の運用を仮定すると、月5万円稼げば約44歳、月10万円なら約40歳、月15万円なら約34歳でサイドFIREに到達します。完全FIREと比較すると、かなり早い段階から働き方を変えられることが分かります。

FIREは「仕事を完全に辞めること」だけではない

今回のシミュレーションを通じて、FIREについての考え方が一つ変わりました。完全FIREにはかなり大きな資産が必要ですが、生活費の一部を自分で稼ぐことができれば、必要な資産は大幅に減ります。例えば月10万円の収入を維持するだけで、3.5%ルールの必要資産は約6,860万円から約3,430万円まで、ほぼ半分に減らせます。

重要なのは、「何歳で仕事を辞められるか」だけではないのかもしれません。「生活のために月20万円を必ず稼がなければならない」という状態から、「投資資産が生活費の半分を負担してくれるため、月10万円だけ稼げばいい」という状態になれば、仕事に対する選択肢は大きく広がります。会社員を続けるのか、副業をするのか、労働時間を減らすのか、好きな仕事に転職するのか――資産が増えることで、こうした選択肢を持てるようになるのです。

今回のシミュレーションで分かったこと

今回の試算は、「27歳・資産500万円(うち投資資産400万円)・毎月10万円の積立」からスタートし、「年収は年3%上昇」「昇給による手取り増加の50%を追加投資」「生活費は現在の月20万円を維持(FIRE後に結婚した場合も共働きを想定し、自分自身の生活費は大きく変わらないものとする)」「運用利回りは3〜7%」「FIRE後の取り崩し率は3〜4%」という条件で計算したものです。

結果として、完全FIREはおおむね44〜52歳、サイドFIREはおおむね34〜46歳という範囲に収まりました。中間的なケースでは、完全FIREが約47歳、月10万円の収入を残すサイドFIREが約40歳という結果です。

この数字を必要以上に信用しない

今回のシミュレーションには、当然ながら限界があります。実際の投資では毎年5%ずつ増えるわけではなく、株式市場が大きく上昇する年もあれば、大幅な下落に見舞われる年もあります。また、昇給・転職・ボーナス・生活費・税金・インフレ・投資リターン・結婚・働き方といった要素も、これから変化していくはずです。

そのため、「47歳で必ずFIREできる」ということを意味するわけではありません。むしろ今回のシミュレーションは、「現在の条件を維持・改善していった場合、FIREまでの距離はどの程度なのか」を確認するためのものです。

実際の資産推移と比較する

FIREは、何十年も先のことを一度計算して終わりにできるものではありません。毎年の収入や支出、投資額、運用成績によって、FIREまでの距離は変わっていきます。そこで今後は、実際の資産額を記録しながら、「当初のシミュレーションと比べて、FIREまでの距離は近づいているのか」を定期的に確認していきたいと思います。

もし昇給によって投資額を増やすことができれば、FIREは早まります。逆に、生活費が増えたり、運用成績が想定を下回ったりすれば、FIREは遠ざかります。だからこそ、FIREまでの道のりを一度計算して終わりにするのではなく、実際の資産推移を記録しながら、定期的に計画をアップデートしていくことに意味があると考えています。

まとめ

今回のシミュレーションでは、27歳・資産500万円からスタートし、現金100万円を残して400万円を投資。毎月10万円の積立を基本とし、昇給によって増えた手取りの50%を追加投資する前提を置きました。年5%の運用を仮定した場合の結果は以下の通りです。

目標目安
サイドFIRE(月15万円の収入)約34歳
サイドFIRE(月10万円の収入)約40歳
サイドFIRE(月5万円の収入)約44歳
完全FIRE(4%)約46歳
完全FIRE(3.5%)約47歳
完全FIRE(3%)約49歳

現時点では、完全FIREだけを目指すよりも、まずは資産を増やしながら、将来的に月10万円程度の収入を得られる状態を作ることが、FIREへの現実的なルートなのかもしれません。今後も資産形成を続けながら、このシミュレーションが実際の人生でどこまで当てはまるのかを記録していきたいと思います。

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